国際結婚と離婚・そして「子の連れ去り問題」を考える

一時帰国のつもりが…

国外に嫁ぎ、「日本に住む家族に子ども達の可愛い姿を見せたい!」と一時帰国したのはいいけれど「パートナーとの言語の壁」「異文化での慣れない生活」など、国外でストレスフルだったのが嘘のように心落ち着く故郷の暖かさに、日本を離れられずそのまま離婚してしまう。

又は逆に、日本に永住する筈だったパートナーが子どもを連れて国外に里帰りしたものの、故郷から戻らないこともあるでしょう。

正式な手続きをせずにパートナーから子ども達を引き離してしまう行為は、「誘拐」とみなされることがあるのを知っていますか?米国においては例え親族であっても、同意のない連れ去りは立派な犯罪なのです。

国際結婚率

最近グローバル化が進み「国際結婚」に対する理解・関心が深まっているように思います。

総務省統計局の発表によると、平成27年現在では夫婦のどちらかが外国籍の婚姻数は全国で20,976組、国内の婚姻数の約3%を占めているのだそうです。

しかし、あくまでも日本国内での調べなので、海外在住者や旅行先で出会ってスピード結婚!なんてケースも含めたら、総数はもっと増えるかもしれません。

「子の連れ去り」問題をめぐる『ハーグ条約』とは

それぞれの国が定める法律に従って結婚したはずが、実はその法律の詳細も知らない場合が多いと思います。母国の法律すら難しくて、法律の勉強やそれに携わる仕事の経験者を除けば、ほとんどの場合無自覚なのではないでしょうか。

国際結婚と離婚が増加する中で、配偶者の同意なく一方の親が子どもを連れて帰国し、戻ってこない状態を「子の連れ去り」と認識し、それに対して各国が返還申請等の担当窓口を設けて、対応するとした取り決めが「ハーグ条約」です。

個々人での対応が非常に難しい国際的問題を、国と国とが協力し合い友好的に解決することを目指したこの条約は、2017年3月現在では世界の96の国々で締結されています。

日本では2013年6月12日に「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律」が成立しています。

◎詳しくは外務省HP:ハーグ条約をご覧ください

ハーグ条約のメリットは?

「子の連れ去り」によって子ども達の健全な発育を妨げる可能性のある環境を継続させないための条約です。原則的には元住んでいた居住国への返還と、両親双方との面会・交流が可能となるようサポートするものです。

子ども達の生活環境や、両親双方の主張をしっかり考慮した上で、元住んでいた居住国の司法に則って解決へと進めていきます。個人では難しい法的な手続きを、国がサポートしてくれるのは頼もしいですね!

※子の返還を拒否できる場合もあります。また状況によっては裁判となり、費用の発生もあります。

この条約が締結する以前は、配偶者の母国に住んでいて離婚が成立した後、その国の司法等により子ども達との一時帰国が許可されないこともあったそうです。

※「子の連れ去り」に関するご相談等は外務省のHPを参考に、お近くの法テラス等の専門機関へのご連絡をお勧めします。
外務省:ハーグ条約(連絡先および関連リンク) 

子どもの立場

親としては「子ども達にとって自分が一番必要な存在」と思いがちですが、家族そろっての生活から一変、慣れない場所・言語・環境は、大きなストレスとなることは間違いないでしょう。場合によっては子ども達の未来を大きく変えてしまうかもしれません。

子ども達は両親から等しく愛情を受け、本人の意思によって自由に触れ合う権利があります。その権利を守ることが、この条約の目指すところなのだと思います。

子どもの国籍

また多重国籍の場合、日本では重国籍を持った子どもが22歳になるまでに国籍を選択するよう促しています。日本国籍を選択すると、手続き上外国国籍からの離脱証明書が必要となります。

米国籍を持っている場合は日本にある米国大使館・領事館において領事との2回の面談の結果、米国務省の許可を得て初めて国籍離脱の手続きが完了し、それを以て日本国籍のみの状態となります。放っておくと日本国籍を喪失する場合もあるようです。

詳しくは『法務省:国籍の選択について』をご覧ください。 

国際結婚の離婚について

夫婦のうちのどちらかが日本人で住所が日本国内にある場合、正式な書類に署名捺印があれば、夫・妻のどちらかが区役所等へ書類を提出し手続きすることで協議離婚が成立します。(米国の場合、裁判以外の離婚手続きは無くまた、各州で法律が異なるので州法に従わなければ米国内での離婚は成立しません)

※国際結婚・離婚についてはパートナーの母国の大使館・領事館のHP等を参考にするとよいでしょう。

さいごに

コミュニケーション不足等で離婚に至るカップルは多いものです。国際結婚となれば言語や文化の異なる環境で育った者同士が、関係を良好に保つためには大変な努力を要するのは必然でしょう。愛情だけでは乗り越えられない問題も多々起きてきます。子どもがいればなおさら・・・

国際結婚は国境を越えた関係であるがゆえに、自分や子ども達にとっての最善を慎重に考慮する必要があります。離婚という結果を嘆くのではなく、その経験から得たものを最大限に活かし、未来を創造できるよう、視野を広げて前向きに歩いて行きませんか?

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