シングルマザーであり女社長の『女性技術者育成支援』その足場固め

松浦鈴枝

男性が多く活躍する職業のひとつに『電気工事士』という仕事があります。

『電気』は、私たちのライフライン的な役割であります。
よって、日々生きていくうえで必要不可欠な業種とわかってはいても、もしもそれが、毎日自分が行う仕事と考えた場合、『工事』という言葉に距離を置いてしまいがちな私たちです。

しかしながら、ひとり暮らしの女性が増え、お年寄りだけの家庭が増え、そんな中女性電気工事士へのニーズは高まる一方
そして、『女性が子育てしながらもできる仕事』であるとしたら・・・

今までの先入観を、一度取り払ってみませんか?




技術の教育から働く場所まで考えた仕組みづくり

松浦鈴枝

女性の技術者が活躍できる場所や仕事を提供する「エルスリーグローバル株式会社」。
代表取締役である松浦鈴枝さん、大阪に事務所を構えながら関西と東京を拠点に活動をされています。

ここでいう「女性の技術者」とは、国家資格である第二種電気工事士の資格所持者の方をはじめ、「整理収納」、「ハウスクリーニング」など、住まいの困りごとを解決すべく技術を持った人材のことを指します。

自らも第二種電気工事士の資格を持ちながら、社長業の傍ら現場でも奮闘されている毎日の中、働く場所を提供することはもちろん、女性の技術者を育成するための教育機関
一般社団法人レディースライフラインサポート協会
の代表理事も務めている、活動的な女性です。

仕事と子育ては同一線上

女性としても経営者としても素晴しい魅力をお持ちの松浦鈴枝さんは、二人のお子さんを持つシングルマザーでもあります。

仕事の内容をご紹介する前に、シングルマザーとして女性の技術者を「育成したい」と思いながら、仕事と子育てとまい進されてきた魅力についてお話ししたいと思います。

松浦鈴枝さんとの出会い

私がずっと想い描いていた「女性が子育てしながらも、家族の介護をしながらも、自宅に居てスキルアップが望める技術の取得支援」。
その候補に挙げた技術職がCAD(Computer-aided design)でした。

※ CAD=コンピューターを用いて設計すること
そんな思いでCADの指導者を探していたときに見つけたのが、電気工事士という職業。
電気工事士にとって大切な電気図面も描くという技術もCADで行います。
そういう関係上、リンクされていったのが女性電気工事士の松浦鈴枝社長の存在

松浦さんが紹介されているWeb記事
「ゲンバ女子」の仕事や育成支援 松浦社長の熱い思いを拝見しながら感じた直感!「この方にお会いしたい!」という想いでした。

工具

以降、親交を深めていく

2016年の3月

一般社団法人レディースライフラインサポート協会
のサイトから問合せをした直後、松浦さんからお電話を頂戴することができたその電話で、お互いが持つ「女性がしっかりと稼げる技術と資格の大切さ」への想いや、「自立を目的とした本当の女性支援」への理念を語り合いながら、直ぐに意気投合。
その数日後には、松浦さんの会社のオフィスでお会いさせていただくことができました。

その日から、何度もお会いしたり電話でお話しさせていただいたり、同じ時間を共有することで、パワフルな松浦さんから元気を頂戴し、今尚、親交を深めさせていただいています。

沖縄で支部の立ち上げに

ところで、皆さまは「沖縄」の社会的な問題を皆さまご存知でしょうか。
若年結婚による離婚率の高さ・教育・就労・雇用・貧困問題など、そこから引き起こす様々な社会的な問題。

沖縄に限らず、社会経験が少ないまま早くに子どもを産み、シングルマザーとなった場合は、再就職や転職をしても、十分に生活ができる収入が得られる仕事に就くことが難しいとされています。
なかでも沖縄は、他の要因も加わっていることで深刻化しているのです。

とにかく想いを伝えてみる

『「子どもを産み育てるうえでの養育であったり、若年による結婚出産をした母親への教育、ここに、なにかしらの風を吹き込むことができれば」という想いから、沖縄のひとり親就労支援と、松浦さんが運営されている「女性の技術者育成」を合致させたい』と願いながら取った私の行動は、『とにかく想いを伝える』ことでした。

話を聞いてくださった松浦さんは快く、女性技術習得支援の一環として『女性の技術育成と、それを活かした職業に繋げる仲介役として、協会の支部を立ち上げる』といった、サポートの提案
そして、協働のもと沖縄支部を立ち上げた人材サポート事業・株式会社シナジープランの存在

沖縄の女性への技術習得支援と共に、子どもへの教育向上へリンクされることを願いながら、株式会社シナジープラン(協会沖縄支部)と一般社団法人レディースライフラインサポート協会株式会社ワーククリエーションがそれぞれの特徴を活かして協働のもと、女性技術習得支援を推奨しながら現在進行形でプロジェクトを進行しています。

シングルマザーである松浦社長

今から17年前の2000年、お子さんが5歳と3歳の時に離婚を経験されたとのこと。
会社を設立されたのは今から6年前の2011年。
会社を立ち上げるまでは、生計を立てるために様々な職業を経験されてきたようです。

松浦鈴枝

「手に職を付けるために、美容師や看護師になることも考えた」と言われる松浦さんは、実は結婚出産前に働かれていた職場で『第二種電気工事士』の国家資格を取得されていたのです。

シングルマザーとなった直後は、「電気工事士の仕事をするとは思っていなかった」と、今でこそ現場慣れしている松浦さんが言われるくらい、当時は『女性の電気工事士』のイメージがわかなかったそうです。

優先したい事が後回しになる

ひとり親であるシングルマザーには、子どもを育てていかなければいけないという課題がのしかかります

生活や将来のためにも、なにかしらの技術を身に付け、資格を取得したいと考えた場合、ひとり親だからこそ収入の事を考えなければいけないにも関わらず、目の前の生活を優先にしなければいけない環境では、『なにかしらの技術を身に付け、資格を取得したい』という想いがなかなか叶えられる状況にはならないのです。

LED取り付け工事が切っ掛け

当時は『女性の電気工事士』のイメージがわかなかった松浦さんが、事業を興す切っ掛けとなったのが、『美容サロン』と同時に行った『LEDのOEM販売』でした。

取得していた第二種電気工事士の資格を活かしてLEDの取り付け工事業も切り拓きながら、個人事業主として2009年から2年間活動を続けた後に会社を設立。
同時に、女性の特徴を活かしたサービスの実現を模索しながら、発信し続けてきました

女性がもっと活躍してもよい業界

松浦鈴枝

松浦さん曰く「まさか自分が、男性が主流の電気工事士業界に入り混むとは思ってもおらず、シングルマザーになってから独立するまでは、営業職を極めながら空いた時間を利用して、エステの技術も身に付けてみたり、とにかく自分にできることは挑戦してみようと思った」と、覚悟を決めたその心意気が、会社設立後にも良い効果を生んでいるのだと思います。

LEDの販売と取り付け工事を行ったときに、直感で『これだ!』と思った」と言われる松浦さんは、「女性でもできる」「女性だからこそできる」と確信したのでしょう。

その閃きからこんにちまで、必要となる人材を育成しながら、会社を大きくしていくことにも挑戦し続けている姿を拝見すると、その時の直感は正しかったと思わざるを得ません。

男性職人と女性電気工事士の違いそれぞれ

電気工事士には第一種と第二種があり、わかりやすく言えば、電柱に上ったり建設現場での職人仕事は第一種。屋内での作業を主とし、エアコンの取り付けやLED交換、あるいは家電機器のメンテナンスなど女性に向いているのが第二種です。

電気工事士業界では男女の技術分担・協力が求められています。

男性職人の活躍場所

建設現場での工事・宅内工事全般です。
体力と技術力を持ってライフラインを支えています。

女性電気工事士が活躍できる場所

  • LED交換
  • 家電機器メンテナンス
  • ノンフロンチェッカー
  • 屋内での作業
  • 電気工事・エアコン取り付け・洗浄
  • 営業しながらの工事が可能な場所(エステサロン・女性専用スペース・女子寮・お年寄りの住まい)

女性の育成力でも貢献ができる

世の中には必要不可欠な電気工事士の仕事。
であるにも関わらず、常に人材不足であるのがこの業界において深刻な問題となっています。

国全体が、技術者の育成に力を入れている昨今。
次世代の技術や資格取得希望者を育成するということも、女性の持って生まれた能力だと思うのです。

技術と資格を取得して、現場で活躍されることは勿論ですが、自分自身が身に付けたスキルを、後世に伝え続けていくという場面で一役買ってみては如何でしょうか。

第二種電気工事士育成について

一般社団法人レディースライフラインサポート協会では、『一生モノの資格で仕事』ができるように『第二種電気工事士』の資格を取得するための『応援講座』を開催しています。

第二種電気工事士講座(一般社団法人レディースライフラインサポート協会)

講座の開講は年に2回、上期下期の試験日に合わせ、試験日がある月の前まで約3ヶ月間の時間を掛けて取り組んでいただきます。

  • 筆記試験対策講座(対面)
  • 技能試験対策講座(対面)
  • 自宅で空き時間を利用して取り組めるEラーニング

試験日については一般社団法人電気技術者試験センターの案内をご確認ください。

講座受講者の年齢層も幅広く、30代から60代までの方が挑戦されているようです。
対面講座で仲間もでき、Eラーニングでは空き時間を利用して常に試験対策に挑める環境づくりが可能となる仕組みづくりなので、独りぼっちで孤独を感じ挫折してしまうということも回避できます。
この魅力が独学との違いですね。

女性の特性を活かした技術取得支援

打ち合わせ
出典:photo-ac.com

第二種電気工事士資格があれば、将来的に独立開業も可能となり、文字通り『一生ものの技術』。
几帳面にやり切るところが、女性技術者のニーズが高くなっている理由でもあります。

とはいうももの、女性電気工事士という職業に憧れを抱いたとしても、『国家資格』というところでハードルの高さを感じてしまう人もいるかもしれません。

そのような方には、第二種電気工事士の資格がなくても可能なお仕事をおすすめしています。


一般社団法人レディースライフラインサポート協会
で提供している新しい職業『りぶそる®』。
女性であれば、普段の生活の延長のような感覚で取り組んでいただける技術の取得講座を開講し、技術を身に付けた後は、仕事に繋げられる仕組みづくりを行っています。

お仕事内容は、エアコン洗浄・整理収納・水回り・ハウスクリーニングなど。
1~2日程の講座から1年間かけて習得するものまで幅広く女性の就労支援を行っているため、ご自身の目的に応じて挑戦されるとよいでしょう。

一般社団法人レディースライフラインサポート協会:りぶそるメンバー募集

一般社団法人レディースライフラインサポート協会:お問い合わせはこちらからお願いします。

女性の電気工事士が活躍できることを知ってほしい!

「一昔前と比べて、電気工事に使用する道具なども工夫され改良されているため、女性の力でも十分にやりこなせることが増えてきています」と、松浦さんは語ります。

ライター大西
実際に現場でご活躍されてきた女性電気工事士さんとして、皆さんに伝えたいことはありますか?
松浦社長
一昔前と比べて、電気工事に使用する道具なども工夫され改良されているため、女性の力でも十分にやりこなせることが増えてきています。
それに子育てしながらでも、予め予定がわかっている時には時間の融通が利かせやすい仕事ですし、先々には技術を活かして独立開業も可能。女性の電気工事士が、実際に現場で活躍できることをたくさんの人に知ってほしいですね!

松浦さんたちは昔ながらの電気工事士のイメージを払拭するために、自社で様々な活動を続けています。
行政が発信する就職イベントで、女性の電気工事士について周知を図るために工夫を凝らし、気軽に体験できる体験コーナーを設け、参加者の方たちに楽しんでいただいています。

そしてこれからは「気軽」「きれい」「心地よい」New3Kへと、イメージアップです。

会社を経営する社長となって

会社と協会、共に設立してよかった想いをお聞きしました。

ライター大西
女手一つでお子さんを育てながらも、自分の目標を持って想いを形にしてこられたと思いますが、「エルスリーグローバル株式会社」と「一般社団法人レディースライフラインサポート協会」共に設立して「良かった想い」を、教えてください。
松浦社長
自分の会社をつくるということは、自分の中に秘めた想いを実現できることです。私は周りの方に恵まれ、支えられてきたと思っています。今度は周りの方や社会に向けて自分ができることを、形にしてお返ししていきたいと思っています!

力強く仰ってくださった松浦さんからは、『自分で切り開いてきた道の上に、ひとつひとつ信頼を積み上げてきた』と感じ取れる、大切な想いが笑顔の奥に、重なって見えました。

日々頑張っているシングルマザーにひとこと

ライター大西
一家の大黒柱として日々頑張っているシングルマザーに、ひとことお願いします。
松浦社長
他人と比較をせずに、自分軸をつくること!そして、自分に自信を持ち、自分という存在を受け入れることで人は前に進むことができます。自分のペースで、一歩一歩確実に未来に向かって歩んで行っていただきたいと思います。

生きていれば必ず、苦境に立たされる場面に出くわします。

それは、決して自分ひとりだけではなくこの世に生きているすべての人が体験することでしょう。
そんな時に、自分自身がどうあるべきか、どう進んで行くべきか。
『その答えは自分の中にある』というメッセージだと私は感じました。

さいごに

『女性の活躍』が期待されている日本。
けれど、なかなか前に進んでいる様には見えていないのが実情。
それは、やはり社会に課せられた課題がクリアになっていないからだと思います。

確かに、30年前と現在を比較すれば、女性が前に出ることへのハードルは低くなった様には感じています。

しかしそれは果たして、女性自身が心の底から手を挙げ率先して、前に出ているのでしょうか。
女性を本当に活躍させたいのであれば、もっと本質的なところをクリアしていかなければいけないことなのでしょう。

そして女性自身も、自分ができる可能性をもっと感じ取ってもらいたいと思います。
男女がお互いを理解しあい、お互いの能力を認め合い、お互いがサポートし合うことができれば、よりよい社会の実現はきっと不可能ではありません。

実際に現場で活躍しながら会社を興し、人材育成にも注力されている松浦さんを拝見していると、日本女性が持つパワーは底知れないなと、そう感じさせてもらえるのです。

海辺の母子

なぜ沖縄はシングルマザーが多いのか?その理由と貧困原因を考える

2017年5月18日
女性

手に職を付けるだけで世界が広がる!女性でもできる人気の電気工事士

2017年5月6日

1 個のコメント

  • 第2種電気工事士取得、40代シングルマザーです。
    電気設備会社でランプ販売営業及び配達兼事務が自分の仕事です。
    お客様から様々な要望や質問を受けることがあったのですが電気設備に関して中々答えることができず、知識をつけたいと思い取得しました。
    少しずつですが、現場に出るようにして学んでいる最中です。
    とはいっても、男性社会。
    思うように学ぶことができないのが現状ですが…
    息子には背中を見せたいと思い日々戦っております(笑)

    大西様と名前も近いこともあり、思わずコメントさせていただきました(笑)
    これからも頑張って下さい。

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