娘は姪と仲が悪いわけではなく、家に帰るとそれなりに遊んでいます。
ただ、
「遊んであげてるだけ」
とドヤ顔をしながらも姪のおもちゃに夢中になり、あまり年齢差を感じないあたりは2年生にしてはかなり幼いところがあります。
「で?おねえちゃんは何が不満なの?」
妹が玄米茶を二人分テーブルに置いて苦笑しながら、
「あたしたち親子三人に、ここから出てけとか?」
と言いました。
妹夫婦は今のところ経済力があるのですから、本来実家に同居しなければならない理由は最終的にはないのです。
わたしは出ていくことはできないから、娘がひがんだりみじめな思いをしないよう配慮してほしい、と言いました。
「配慮って何?
あたしたちは愛美ちゃん可愛いし大好きだし、うちのチビと同じように大事にしてるよね?
計算で二割増しぐらい気を遣えっての?」
妹は軽く抱えた頭を振り、わたしを真正面から見据えて、笑顔ではあるもののしっかりと話をする表情になりました。
そして、
「おねえちゃん、シングルマザーって相当偉いとか勘違いしてない?」
と言いました。
「何それ。そんなこと思ってないよ」
ムッとして答えると、妹は、
「あたしの友だちもひとりシングルマザー。
うちと同じで2歳の女の子のおかあさんでね。
DVのダンナから裁判で逃げたの。
こんな話するもんじゃないと思ってたけどね」
と切り出しました。
確かに、友だちの多い妹のそういうダークな話を聞いたことはありません。
妹はそもそも誰かの個人的なことを陰でも漏らさない性格です。
「離婚したのは去年だけど、生まれた赤ちゃんの声がうるさいって彼女に暴力振るい始めてさ。
それが娘さんにもエスカレートし始めて、我慢すべきじゃないって決めての離婚だよ。
実家に帰ったけどすぐ経理経験活かしてパート見つけて…
子どもがいるから実家にも会社にも迷惑かけるけど、恩返しするって頑張ってるよ」
「そうなんだ…すごいね…資格持ってる人はラッキーだな…」
「資格とか経験も本人の頑張りでしょ?
おねえちゃん、離婚とかシングルマザーとかその上での仕事とか、ふわふわゆるーく考えてない?
仕事に向かないから同棲結婚に逃げたんでしょ?
お義兄さん、たった一回泥酔での不倫も土下座で謝ったし、いいパパでいい旦那さんだったのになんで別れたの?
結婚にも向かなかったから逃げたんでしょ?
仕事嫌だったのに、なんでまた起業とか考えたの?
慰謝料もらって生活費入れずに実家で一年間楽して、それも居心地悪くなったから働いてみよう、でしょ?
起業の理由は?
失敗したら簡単に言い訳作って辞められるようにレンタルショップの店長選んだんでしょ?
雇われて指示されるのも嫌な性格だし」
ゆっくりした口調は、全てわたしの逃避を言い当てていました。
「それに、あたしは理由なく実家に居座ってるんじゃないよ?
ちゃんと生活費入れて貯金もして、親が動けなくなったら介護をする覚悟をしてるしそれを放り出す気はないよ。
ねえ、親は衰えていつか死ぬんだよ?
母子で住むところが必要なら、親を背負う覚悟が必要なの。
出ていけないなら協力して一緒にここで暮らせばいいじゃん。
おとうさんとおかあさんの老後の面倒はしっかり看る覚悟でね。
それが恩返しだよ」
世間には、わたしより利口な人がたくさんいる。
それぐらい理解してはいたのですが、たくさんいるのではなくわたし以外はほとんど利口というのでは
と感じつつあるような…









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